学校に行けなくなり、日々の過ごし方に悩む思春期の娘はHSCです。
その娘に私が提案したのは『料理』。

今回は、こんなお話(↓)のまとめです。
・娘に料理を勧めた理由
・毎日の料理を担当することで見られた娘の変化
・料理をする娘に対し家族が気を付けたこと
・料理と向き合う中で娘が苦労した点
最後までお読みいただけると嬉しいです。


なぜ料理を勧めたのか
私が娘に毎日の料理を勧めた理由はただ1つ。この理由が、今思えばとても大切な事だったんだな…と感じます。
料理が“好き”だった
もともと、娘は“作ること”が好きでした。
手先が器用で、アクセサリーや編み物などの工作物は比較的得意。中でも、料理は最も好きなこと。自らキッチンに立つことも多くありました。
私が仕事で遅くなる日には、「冷蔵庫にある食材は何を使ってもいいから、何か夕飯作っておいて!」と頼めば嫌な顔をせず引き受けてくれる、そんな感じでした。毎日お願いする以前にも、時々は料理をしていたのです。
「好きこそものの上手なれ」と言いますが、この“好き”がHSCにとって(多分HSC以外にとっても)大切なことだと考えます。
好きだからこそ楽しめる。楽しいからこそ上達したいと思える。前向きに取り組めること、それが娘にとっては“料理”だと思ったのが料理を勧めたただ1つの理由です。
料理を楽しめる環境があった
料理が好き、それと重なり、思春期の娘が楽しく続けられる環境がたまたま整っていたことも良かったと言えます。
伸び伸びできる
娘に担当してもらうのは、主に夕食。
作る時間帯に、妹は学校、親は仕事…つまり、家族はみんな留守。横でうるさく口を出す人はいません。
せっかくやろうと思ったときに、横で「いつできる?」「片付けがらやったら?」「時間、かかりすぎじゃない?」「え~、今日は○○が食べたいのに~」なんて言われると、大人でもやる気を失いますよね。
娘の場合、とにかく自由でした。何を作るかも自由。どんな工程で作るのかも自由。
例えば、焦がした時には見られないようこっそり処分して作り直しても誰も文句を言わない。調理中にキッチンがごちゃごちゃでも、家族の帰宅前に片付ければ誰も文句を言わない。好きな料理なら、先に味見~と言ってたくさん食べちゃっても、みんなにはバレません。
思春期という年頃から、自由にできるってすごく嬉しいじゃないですか!
伸び伸びと好きなことができるって、HSCにとって、思春期にとって、とても大切なこと。



料理で成長!自己肯定感を高めた料理のメリット
料理をすることで、娘は大きく自信を付けたようです。
深く考える特性が活かされた
どうして上手くできないんだろう…ちょっとした調味料の過不足や盛り付けのセンス、小さなところまで気になるのです。そんな風に、深く考えるのはHSCの特性のひとつ。
料理には、もちろん失敗もあります。
思い通りの味にならない…焦げてしまった…食材が足りない!!
そんな失敗をした時には、「次はこうしてみよう」「もっとこうしたらどうかな」と考えることができる。
レシピ通りに作ったのに…美味しくない。
そのようなことはたくさんありました。
家庭によって味の好みは違うし、使う調味料も違います。同じ砂糖でもこってりやアッサリなど味は異なりますし、塩だってまろやかな味から尖った味など様々。醤油も減塩醤油・濃い口、薄口によって料理の味はかなり変わります。入れる順番、火加減もそう。使う野菜だって、季節によって水分量が違えば当然味も変わります。
思い通りにできなかった…どうしたらできるのだろうと考える。SNSで見る料理のように盛り付けるには、どんな工夫が必要なのだろうと考える。目的の時間に仕上げるには、いつ開始しどんな手順で進めれば良いかを考える。
とてもよく考えながら、約1年で娘は料理の腕をグングン上げました。
「全部自分の手で作りたい」
娘が料理を担当するようになった頃、毎日続ける苦労を少しでも楽にしてほしいと考えた私。その頃、私も興味があった「ホットクック」を入手しました。
ところが、何度か使った娘の反応は予想外。
お任せしていると作った感がない。自分で味見をしながらしっかり作りたいから、ホットクックには頼りすぎない!と言ったのです。
今は、低温調理や無水カレーなど、ホットクックに任せて美味しかった料理はホットクックに。それ以外は鍋とガス火が基本。自分の目と耳と手で料理することを中心に、料理をしっかり楽しんでいるようです。



達成感をたっぷり味わい中
「できた!」を味わい、満足する。これは、自己肯定感をすごく高めることにつながります。その達成感を味わえる場面が、料理には本当にたくさんあるのです。
完成したら時点で達成感。
納得する味になれば達成感。
家族が美味しいと言ってくれれば、また達成感。
食材を無駄なく使い切る、それもまた達成感。
味だけではありません。
盛り付けの工夫したり、予定通りの時間に食卓に出すことができることもそう。「できた!」と感じられることがとても多かったのです。
チャレンジ精神が旺盛に
新しいことには一層慎重になりがちなHSC。料理に関しても同じです。しかし、達成感から少しずつ自信が付くと同時に、挑戦してみようという気持ちも生まれる、これもメリットでした。
「今まで作ったことがないけど、できるかもしれない」「食べてみたいな、作ってみたいな」。これって、自分を成長させることができる素敵な気持ち。
今まで我が家の食卓では見かけなかったような、豚肉を低温調理した料理や、若い子たちを中心に流行している韓国料理や台湾料理もどんどん作るようになりました。
外食先では盛り付けを例として頭に焼き付けたり、こんな料理もあるんだ!と脳裏に焼き付けたり。「また食べに来よう」ではなく「家で作ってみよう」と考えることも多々あります。
前向きになった
HSCはネガティブ志向が強め。従い、自己肯定感が低く育ちがちと言われます。
それまでの子育てでは、意識して褒めることを繰り返してきました。
それでも、失敗や不快があれば、どんな小さなことでも大きく捉えて自分を卑下してしまう…。
でも、料理をするようになってから、少しずつ色々な面で前向き思考が見えてきたのです。
失敗した…と落ち込むことはあります。でも「次はこう工夫して、また作ってみる!」と言ったときには少しびっくり。そして「前に失敗したけど、こう工夫したら上手くできた!」と、前向きになれば成長できることも実感したようです。



娘の料理に対して家族が気を付けたこと
娘の料理に対しては、いくら家族でも気を付けるべきことがあります。味だけではありません。調理工程に対しても、注意した点をいくつかお話しておきましょう。
調理工程をチェックしない
これは私が気を付けたこと。特に気になるのは『片付け』です。
調理中、キッチンの中をごちゃごちゃにしないため、洗い物は同時進行すべし!と…ついつい言いたくなります。でも、そこはグッと我慢。



「汚いものは嫌!」という敏感さと戦っていた娘。料理を始めた当初は、片付けが最も大きな課題でした。しかし、今では食器や調理道具の洗い物、使った後のガス台の拭き掃除、シンクの掃除まで、毎回しっかりやってくれています。
味がどうの…と非難しない。
美味しくない、味が濃すぎた、薄すぎた。このような、味の失敗は多々ありました。でも、それは家族が言う前に、本人が一番よくわかっているはずであろうこと。HSCの娘は味にもとことんこだわりますから、お腹がいっぱいになってしまうほど何度も味見を繰り返します。みんなが食べるときには「今日はちょっとしょっぱくなっちゃって…」「味がよくわからなかった…」と言います。



薄ければ、醤油や塩をかけるから大丈夫。
濃いけどご飯と一緒に食べればちょうどいいよ。
生野菜と一緒に食べればドレッシングなしでも美味しい!
そんな風に、責めるような言い方をしないように心がけました。
私だけでなく、家族みんなが。
具体的に褒める!
「美味しい!」を褒めるときは具体的に。
・ちょうどいい味付け。出汁がきいてとっても美味しい。
・ご飯が進む!おかわりしたくなっちゃう~
・衣がサックサク!全然べちゃっとしていなくて揚げるの上手~。
・ソースまで手作りしたの?市販のソースより美味しい。
・よくこんなに細切りにできるね。千切りキャベツがふわっふわ!
もちろん、味以外にも、料理には褒める場面がたくさんあります。気づいた点は言葉にして褒める。大げさなくらいに褒めました。
- きれいに盛り付けられてて美味しそう!
- この野菜、全部使い切ったね。無駄なく使い切れて良かった!
- 「ただいまー。わ~!出来立て!嬉しい~」
- 何時間かかったの?こんなにたくさん。豪華~
- これ、ちょうど食べたいと思ってたの!
- 野菜の飾り切り!手間かけてるし、しかも上手!



こんな料理を作りました!
ここで、少しですが娘が作った料理をいくつかご紹介します。
絶品とろとろオムライス
オムライス好きの娘がとろとろ半熟加減を追求しただけあって、かなり美味しい一品。私には作れない絶品です。
よだれ鶏
リクエストして作ってもらった一品。鶏肉の低温調理には鍋や炊飯器など色々使って試したようですが、結果ホットクックがいちばん美味しくできるとのこと。たなかノートさんのレシピです。


豚ひれ肉の低温調理&チキンソテーのニラソース
青いお皿にのったのが、豚ひれ肉を低温調理したもの。ホットクック使用。これはかなりの絶品。すごく柔らかくて、ハムなんてものではありません。お肉。とにかく柔らかいお肉。美味しい以上に美味しい一品。



手前は、家政婦志麻さんのレシピ。テレビで見て作ってみたとのこと。テレビやSNSでも料理をよく見て参考にしているようです。


シチューパイ
器によそったビーフシチューに、冷凍パイシートを使って蓋をしてオーブンへ。パイシートを使ったのはこれが初めてだそう。一度使ってみたい!という挑戦。大成功でした。
焼きそばと芋だんご
チルド焼きそば。冷凍してあった芋団子。手をかけない料理でも、こんな風に盛り付けると立派なプレートに。素敵に工夫した夕飯です。
デメリット
娘が毎日の夕食料理を担当するようになって1年半が経過。これまでの間、ずっと良いことばかり…だったわけではありません。失敗したこと、デメリットだと感じたことも書き残しておきましょう。
家族の反応に敏感
いくら「美味しい!」と言っても、具体的に褒めても、本人は納得しないことがあります。本当に美味しいの?でも箸が進んでいないよ…。美味しいときはもっとパクパク食べてくれるのに…。
表情から箸の動きまで、本当によく見ています。HSCの敏感気質です。
食べきれず残そうものなら「美味しくなかったんだ…」「作りすぎたの自分が良くない…」と受け止めます。



それはある意味、娘にとっても家族にとっても試練だったのかもしれません。娘の料理の腕と同時に、私たち家族の褒め方、食べ方も日々成長…でした(^-^;
手の抜き方がわからず自分を追い込んだ
夕飯だけと言っても、“毎日”となると大変なのはわかります。疲れている日、帰宅直後なんて、私だって作りたくありません。
「今日は面倒だからお惣菜を買って済ませよう」「たまには外食しよう」「誰か作って~!」というように、何かに頼るって時にはとても必要だと思います。
ところが、HSCの娘は完璧を目指すタイプ。手を抜く=自分が負けた、そんな気持ちになるようで…。
作るとなれば、ご飯に汁物、メイン料理に副菜…をしっかり並べるのです。
時には手を抜くことも大事。買ってきたものでも充分だし、インスタントラーメンやそうめんだけ、品数が少なくても全然平気なのだと何度も伝えました。イライラして作るより、手抜きして楽しく食べた方が断然おいしいのですから。
その“手抜き”、一度やってみると「意外と大丈夫なんだ」って安心できるんですよね。手の抜き方は今でも時々忘れてしまうようです。頑張りすぎず、お惣菜にでも家族にでも頼ればいい。料理に限らず、この気持ちは持ち続けてほしいところです。
料理教室もおすすめ!
料理をやってみたいという思春期HSCさんには、オンラインの料理教室もおすすめです。もちろん、HSPさんにもおすすめ!



HSC(HSP)さんに合うオンライン料理教室の選び方
- 初対面の人との交流を心配しなくていい。(音声をミュートのまま参加できる)
- 自分のペースで参加日を決められる。
- まずは体験。納得してから入会できる。
相手からどう思われるか、HSC(HSP)さんが特に気にするところ。オンライン教室なら、自分の見た目や声を気にする必要がありません。
また、完成した料理をみんなで試食!という場面が苦手…なHSC(HSP)さんでも、食べるのは自分だけですから安心です。
おすすめのオンライン料理教室【CookLIVE】
CookLIVEは料理初心者向けの料理教室。音声ミュートで参加でき、質問したいときはオンにもできますし、チャット機能を使うことも可能。カメラも終始OFFで大丈夫。
毎日開催しているので、好きな時に参加できます。
予約状況によっては講師と1対1になることもあるので、他の方と一緒は気を使ってしまう…という人は、状況を見て参加を決めると良いでしょう。
始めるために登録費用はかかりません。まずは500円という低価格で、一度体験してみてはいかがでしょう。
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まとめ
HSCって、決して悲しい特性ではありません。
敏感という気質を活かせる場面は人によってそれぞれで、きっとどこかにあるはずです。娘の場合、今はたまたま料理だったのかもしれません。
でも、それを職業にする必要はありません。ずっと続ける必要もありません。やめたくなればやめればいい、別のことをしたくなったら方向転換すれば良いのです。
本人が幸せで家族が幸せ。人生にとって、それが一番大切。その時その時に、自分が楽しめる何かに出会いながら過ごしていけるといいな、親としてただただそう願うだけなのです。
HSCという特性を持った思春期娘。こんな過ごし方もあるんだなぁと読み過ごしていただければ嬉しいです。
Have a happy time!
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